世界が統合されてから、およそ半年がたったある日の出来事。 「世界統合により、6つの確立した世界が一つとなり、ここに新たな秩序を引かなくてはならない。」 錬金術師ラウの発明した立体投影機から巨大な空のスクリーンに映し出され、マオが世界の住民達に語りかける。 「その秩序を引くのは月の姫か、それとも別の者か。」 非戦戦闘地区に非難した人間達、ヴァルキュリスの城から伺う妖魔の女王、月の宮殿で新世界対策を練る月人など、全ての生ける人種がその映し出された空を見上げていた。 「ボクはここに宣言する。世界を統べるのはこのボクだと。」 世界中で動揺の声が生まれる。 「ボクの名はマオ。この世界を統べる者だ。」 やがて、動揺は不安を生み、人に恐怖を生む。 「ボクに従うものは今日中にボクの元へ来い。明日になれば、侵攻者としてみなす。」 投影が終了し、空が戻る。そして、各地の同様に紛れた中に、我こそ世界の頂に立とうと闘志を抱くものが数名、この期に乗じて高みを目指そうと密かに企む。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 演説を終え、マオは支度を始めた。 「ラウ、侵攻者の駆除は任せたよ。」 「ワシの仕掛けた罠は万全じゃ。もしもの時にはグリードとサザンクロスがおるし、地下にあるここはそう簡単に見つかることはない。」 荷物を纏めるマオを背に、ソファーに腰掛けるラウは心配無用とばかりの笑みをこぼし、そう答えた。 「わかった。ならフリードとラビリンスは護衛に連れて行く。」 「それはよいが、メロウはどうする?」 ラウに問われ、マオは少し考えてから提案する。 「世界統合で同素体である彼女のクローンはすべて消えたし、もう一度複製してみるのがいいと思う。」 「ふむ。あれ以来機械も動かしてはおらぬし、丁度いい機会だ。」 ラウはそう答えるなり、ソファーから立ち上がる。そして、そのまま研究室の方へと向かった。 「それじゃあボクも向かいますかね。」 よいしょっと荷物を担ぎ、マオは地下から地上につながる階段を上がり始めた。いよいよ、新世界が大きく動き出す―――。 |
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