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宴会の真っ只中。 「アルテミス~、ちょっといいかぁ~?」 ルナによばれ、アルテミスは主催席を立った。 「どうしました、ルナ。」 穏やかな表情で、アルテミスは彼女に問う。 「なんであの時助けに来たんだ?」 「ああ、ルナが城を飛び出した日ですね。」 ルナは首を縦に振り、静かにアルテミスの回答を待っていた。 「シンシア様に頼まれましてね、あなたに付いて行くようにと。」 「シンシアにか?」 「ええ、そうですよ。」 アルテミスは微笑んだまま、視線をシンシアの方へ向ける。 「シンシア様は、ルナのことをとても大切に想っておられますからね。たぶん、私なんかとは比べ物にならないくらい、ルナのことが大切なのでしょう。」 それは、アルテミスの嫉妬だったのか、それともシンシアの気持ちを素直に伝えただけだったのか、ルナにはそのどちらかに思えた。アルテミスのことだ、たぶん後者であろう。しかし、少しばかりの嫉妬はあるのかもしれない。だから、そういう言い方をしたのかもしれない。それほどにまで、シンシアに愛される自分は、自分で思っているよりも遙かに幸せなのだと改めて思い知らされる。そんな自分を助けてくれたアルテミスのことが気になっていた。だから、泳月庭宴の真っ最中にも関わらず、ルナはアルテミスに声をかけたのだ。 「そうなのかぁ~。」 「ええ、そうですよ。」 アルテミスの返答が終わってすぐ、ルナはさらに質問する。 「じゃあ、アルテミスはルナのことどう思っているんだ?」 「そうですね――。」 アルテミスは一呼吸起き、視線をルナに戻す。 「シンシア様と同じくらい、大切ですよ。」 ルナは素直に嬉しかった。 「ルナも、シンシアやアルテミスのことが大好きだ。」 宴会は深夜遅くまで、丸一日かけて行われた。まだ寝ない、と言い張るシンシアを諭し、庭で仰向けに寝てるルナを寝室まで運んだアルテミス。明けて翌日、彼と数人のメイドたちが現在後片付けを行っている。 客室に泊まっているお偉い方や招待客の送り出し、宴会の出席率の計算、当日の追加費用など、彼の宴会はまだまだ終わりそうに無かった―――。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 主人の屋敷に辿り着き、帰還の報告を主人に告げる。すると――。 「堕天使の集団に襲われて、アルテミスに助けられたそうだな。彼から連絡があったときは心配したが、無事で何よりだ。」 主人からの最初の一言で、ユナの中で何かが崩れた。 「まったく、抜け目のない配慮だ…。」 ユナは笑っていた。 「?」 なぜ笑っているのか。主人こと、ドランクにはさっぱりわからなかった。 「まったく、天使と戦争にでもなったら、あんたの所為だ…。」 アルテミスがいるであろう方向の空を見つめ、ユナはそう呟いた―――。 |
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